2015.04.12
ビリー・ホリディ生誕100年
人種差別、麻薬、アルコール依存など壮絶な人生を送った黒人女性歌手
『レディ・デイ』の呼称で知られる
多くのミュージシャンに取り上げられジャズ・ボーカルの古典となっている
代表的なレパートリー『Strange Fruit(奇妙な果実)』と言えば
知っている方も多いと思う
ビリー・ホリディ生誕100年を記念して
今年は多くのトリビュート作品が発売されると思いますが
今回は私の敬愛するジャズ系ミュージシャンが
ビリー・ホリディ生誕100年にあわせて発売した
この2枚の作品を聞き比べてみた
José James / Yesterday I Had The Blues
- The Music Of Billie Holiday
新世代ジャズ・シンガー『ホセ・ジェイムス』
ブルーノート移籍第一弾『No Beginnning No End』では
ジャズ・ファンはもちろん
ジャズ、ソウル 〜 ヒップ・ホップ、ファンまで
幅広い支持を広げました
作詞、作曲、プロデュースまでこなすホセ・ジェイムスですが
今回のアルバムでは
ジャズ・ヴォーカリストとして専念し
ニューヨーク・ジャズ・シーンの
トップクラスの豪華トリオがバックを勤めた
リアル・ジャズ作品になってます
聴き所はなんと言っても『Strange Fruit(奇妙な果実)』
ヴォーカルを多重ループしオーバーダブしたシンプルな楽曲ながら
生々しいディープな仕上がりで最高!
元々この楽曲はアメリカの人種差別を告発する歌で
この様な内容の歌を歌う事自体
当時ではかなり危険な行為で
FBIの要注意人物に指定されていたようです
ロックやフォークだけでなくジャズの世界でも反骨精神を
持ち音楽で訴えるという方がいたんですね
そんな歴史を考えながら聞いてみると
ビリー・ホリディの意志を損ねる事なく
歌い上げたホセ・ジェイムスの力量に改めて感動せずにはいられません
Cassandra Wilson / Coming Forth By Day
グラミー賞受賞歴2回トップクラスの
ジャズ・ヴォーカリスト
3年ぶりの新作は
ジャンルレスなメンバーを集めて
ビリー・ホリディの楽曲を
今に生きる自分達なりの解釈で表現した
コンテンポラリーな仕上がりのトリビュート盤
ホセ・ジェイムスと音楽の表現方法は異なりますが
ビリー・ホリディのディープな情感は損なう事無く
リスペクされているのが伝わりますね
残念なのはバックの演奏が全面に押し出されていて
カサンドラのヴォーカルが映えない事
これでいいの?
ちょっと苛つきますね(笑)
一般受けを狙いすぎだよ!
もう少しジャズサイドからのアプローチが欲しかったな〜
とは言っても
決して駄作では無く
非常に聞きやすいんで
ビリー・ホリディもジャズも知らない方には
洒落た音作りの
こちらのアルバムの方がオススメですね
私的にはホセ・ジェイムスの大勝利です(笑)
ちなみにアルバム名の『カミング・フォース・バイ・デイ』とは
古代エジプトの『死者の書』の事だそうです
ディープだな〜(笑)